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大学女性協会とは

JAUW Information

~季節の便り~

Seasonal news

「季節の便り」は、季節ごとに替わる、JAUWの理事・監事、各委員長・支部長などからの寄稿ページです。
皆様 どうぞお楽しみに!
執筆はウェブサイト管理委員会からご依頼いたします。
寄稿いただける方についての情報も委員会までご連絡ください。
ウェブサイト管理委員(長谷川、鈴木千、秋光、岩村、中道、穐田、梅田)

 光が繋ぐ、女性たちの知性と情熱  —二葉館 訪問記—

 4月初旬、JAUW愛知支部の定時総会を終えた私たちは、その足で「文化のみち 二葉館」を訪れました。新年度の清々しい空気の中、かつて「二葉御殿」と呼ばれたその場所は、私たちを優しく迎え入れてくれました。 館内に一歩足を踏み入れると、至る所に配された「灯り」の演出に目を奪われます。共に訪れた会員たちの間からも、感嘆の声が上がりました。私たちがそこで見出したのは、単なる豪華さではなく、「電力王」福澤桃介が、いかにして「電気」という新しい時代の光を美しく、かつ戦略的に提示しようとしたかという知的なこだわりです。特に、まるで古い映画に出てくるガス灯のように螺旋階段を彩る照明や、和洋折衷の繊細な電灯たちは、屋内からも屋外からも「電気の美しさ」を最大限に引き出すための、計算し尽くされた芸術品でした。

この瀟洒な空間を歩いていると、主であった川上貞奴の「生きる情熱」が、今も室内の温度として残っているかのように感じられます。美貌の芸者から女優へ、そしてパートナーとともに事業にも邁進した彼女の人生。その足跡を辿れば、大正時代を駆け抜けた与謝野晶子らの姿とも重なり、自らの意志で幸せを切り拓いた一人の女性の、力強くも気品ある一生が浮かび上がってきます。廊下の照明や洋食器にさりげなくあしらわれた、彼女が好んだという「くずし紋」のデザイン。こうした細部に宿る彼女の美意識に触れ、会員一人ひとりがそれぞれの胸に刻んだ感動を分かち合うとき、ここが単なる邸宅ではなく、真の「サロン」であったことが、歴史の記述以上のリアリティを持って私たちに迫ってきます。

この柔らかな「灯り」を見つめながら、私の思いは先日訪れたニューヨークの国連本部(CSW70)での議論へと繋がっていました。司法アクセスにおけるAIのバイアスという現代の課題に対し、私たちはどのような透明な光を当て、誰もが等しく守られる社会を築けるのでしょうか。貞奴や桃介が新しい時代の光に未来を託したように、私たちもまた、現代の新しい技術を、女性の尊厳や真のウェルビーイングを照らす光へと昇華させていきたい。二葉館の静謐な空間で、仲間の眼差しと共に過ごした時間は、そのような未来への確信を深める貴重な機会となりました。

  「近くにこのような素敵な場所があったのか」と、改めて地元愛知の文化の深さに感じ入るとともに、会員同士で豊かに語り合えたこの時間は、愛知支部にとってこれ以上ない良きスタートとなりました。

文学のみちに灯るこの歴史的な光を、私たちは次世代へと繋ぐ知性の灯火として、これからも大切に見つめ続けていきたいと思います。

愛知支部 稲葉みどり

 

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