京都支部新年会

2015年1月31日

 

新年会は、中川慶子支部長の新年のご挨拶で始まった。

 

元旦に珍しく大雪が降ったが、会員の皆様が良き新年を迎えられたことは何よりもうれしいことです。念頭にあたり、皆様とともに世界中が平和になるようにと願いたい。JAUWも新中村会長の下、会員拡大に向け取り組まれているが、京都支部も会員減少を食い止め一人でも会員を増やす努力をしたいと思っている。私たち現役員の2期4年間の任期はまもなく終了するが、支部活動を少しでも活発に魅力的なものにしたいと思っています。今年もよろしくお願いします。

 

次に、今年は京都支部が推薦した足立博子さんが2014年度国内奨学生に選出されたので、この機会に彼女をお招きして、「遺伝子治療の研究と女性研究者の今後の展望」という題でお話しをしていただいた。足立さんは京都府立医科大学大学院博士課程2年の学生で、血管新生という現象をテーマに研究を行っていらっしゃる方である。お話しの内容は次のようなものであった。

 

血管新生というのは血管が新しく形成されることである。この血管が新しくできる現象は、生体が形成される時や、創傷治癒といって、傷が治っていく時におこり、適切に酸素や栄養を運搬するという働きをしている。しかし一方で、血管新生は様々な病気にもかかわっている。例えば、ガンで腫瘍が形成される時は、局所的に異常な血管新生が促進される。そのため、腫瘍部分に酸素や栄養が豊富に集まり、腫瘍が増大していく。また腫瘍細胞がほかの組織に転移するのも血管新生が原因となっている。このように、生きていくうえで必要な生理現象が一方で病気の原因にもなる、というのが血管新生で、これは様々な遺伝子によって制御されていることが最近の研究で分かってきている。

 

遺伝子を標的とした抗がん剤や血管新生治療薬が実際に臨床で使われているが、血管新生の全貌はいまだに明らかになっていない。私たちは血管新生のメカニズムの全容を明らかにするために、マウスの網膜を用いて網羅的遺伝子発現解析を実施した。その結果、約24,000の遺伝子の中から、血管新生との関連性が報告されていない遺伝子を5つ抽出することに成功した。この研究によって血管新生にかかわる遺伝子が確定され、新しい治療法が発見されることが期待されている。

 

しかし研究の世界で、女性がキャリアアップするのがなかなか難しいということも見えてきた。自分たちの年齢だと、結婚出産の適齢期なのだが、研究のためには24時間、365日研究に打ち込んでいる時期でもある。色々難しい問題はあるが、ライフ・ワーク・バランスをうまく保って、後輩研究者のよき道しるべになりたいと思う。そして今後もさらにこの研究を追求していき、将来の医療に役立つ成果を上げたいと考えている。

 

足立さんのお話しは、女性が仕事と人生をどのようにうまく両立させていくか、という私たちが一番関心をもっているテーマに触れる内容だったので、聞きながらその大変さに胸の痛くなる思いがした。後でお聞きすると、交際中の男性はいるとのことだったが、その人が研究職ではなく、一般の仕事をしている人なので、自分は研究を続けたいし、その彼の人生とどう折り合いをつけていくか、今悩んでいるとのことであった。しかし彼女はとても明るい性格のようなので、問題をうまく切り抜けて生きて行っていただきたいと願うばかりである。

 

その後、ロシアのワインを味わい、おいしいロシア料理をいただきながら話しが弾んだ。会場が6階で西に面していたので、窓からは東山が一望でき、時折雪が舞ったり、太陽がさしたり、変化に富んだ景色を眺めながらの午後のひと時だった。

 

ご出席になっていた野口久美子会員から、東京の大学にお変わりになるので、京都支部は3月末で退会なさりたいとのお申し出があった。同志社大学アメリカ研究所助教として、アメリカ先住民の歴史を研究していらっしゃる先生には、2012年6月に「アメリカ合衆国の先住民――その歴史と現在」と題する講演をしていただき、私たちはアメリカ先住民に対する新しい視点に目を開かされた。また、先生がアメリカ先住民研究者を同志社に招聘した時は、支部の有志が講演を聴講にいった。積極的に支部の活動に協力して下さっていたので、退会なさるのはとても残念なことだが、東京でのさらなるご活躍をお祈りして、お別れを申しあげた。近々にアメリカ先住民に関する著書が出版されるということである。

 

昨年は御嶽山の噴火、広島の土砂災害などの災害に加えて、過激集団「イスラム国」による日本人人質殺害などがあり、良い年ではなかったが、今年はどうぞいい年でありますようにと祈りながら、皆さん家路についた。