第3回例会講演要旨

「京都市動物園の見学」

2014年11月19日

 

京都市動物園は1903年(明治36年)に日本で2番目の動物園として開園した(一番古いのは1882年(明治25年)年設立の上野動物園)。昨年2013年に110周年を迎えている。2009年度に作られた「京都市動物園構想」をもとに、都心から近い、動物との距離も近い、動物たちが楽しく暮らす、ワクワクするような動物園を目指して、現在整備を進めている最中である。全体の3分の1は工事中だったので、見られない箇所もいくつかあり、少し残念だった。このリニューアル計画は2年後の2016年の完成をめどにしている。また、私たちの行った2日前にラオスから4頭の象が到着していたが、一般公開は来年3月ということで、これも残念だった。

 

動物園では、現在およそ130種、530点の動物を飼育している。この動物園の特徴としては、繁殖に力を入れており、日本初の繁殖成功例がたくさんある。――ライオン、トラ、ニシローランドゴリラ、シロテナガザル、クロエリハクチョウ、ベニイロフラミンゴ、フロリダニシキヘビなどである。特に、ローランドゴリラでは日本初の繁殖に成功しただけでなく、日本で唯一の3世代飼育に成功している。また、チンパンジーの研究で世界的に有名な京都大学と連携して、チンパンジーの「心の進化」の研究を続けている。このように、野生動物の保全にむけた種の保存・研究や環境教育という役割を果たすために「生き物・学び・研究センター」を立ち上げ、動物図書館・展示室・視聴室を充実させるべく現在整備中である。

 

私たちは二条通りに面した入口から入り、まず「もうじゅうワールド」で小型から大型までのネコ科を展示しているエリアに行き、ライオン、アムールトラ、ツシマヤマネコを見た。一行のなかには猫好きが多く、大いに盛り上がった。檻は全面ガラス張りで開放的。屋上には下から見える空中通路があり、運がよければ、そこを歩いている姿が見られるとのことだが、残念ながら、みな檻の中でゴロッと横になり、気持ちよさそうにお休みだった。絶滅危惧種に指定されているツシマヤマネコも小屋の下に潜り込み、そっぽを向いていた。ここがお気に入りの場所で日中はほとんどここで過ごしているそうだ。その現在の生息数は推定で70〜100頭で、園では今後は繁殖に取り組み、種の保存に協力していく予定だということである。

 

さらに道を西に進むと、「京都の森」なのだが、これは現在整備中で、2015年夏にオープンの予定である。これが完成すると、京都の森のなかで日本産の動物、たとえばホンドギツネ、ニッポンツキノワグマ、ホンドフクロウ、オオサンショウウオなどが飼育され、二条通りに沿った広大なエリアで、四季折々に美しく変化する森と相まって素晴らしい京都の自然が楽しめるようになる。これに続く、東端の「象の森」も整備中で、2015年春に完成予定である。ラオスから到着した4頭の象もその時にお披露目される。

 

次に「熱帯動物館」に入る。そこではジャングルの木の上で暮らすナマケモノ、湿地で過ごすカピバラ、水辺のワニ、カメ、ヘビ、イグアナなど、多くの両生類、爬虫類、夜行性動物が様々な生態をみせて展示されていた。また、コンゴウインコなどの色鮮やかな熱帯の鳥類もケイジの中にいた。進化の過程で、環境に適応する変化をしてきたことは分かるが、何故熱帯の鳥はこのようにカラフルなのだろう、何故カメの甲羅の模様があのように細かく違うのだろう、などと皆で話し合って、自然の不思議さに改めてただただ驚いた。

 

次に「サルワールド」へ。人間と同じ祖先をもつ仲間たちとの出会いである。類人猿のゴリラ、チンパンジーと猿類のフサオマキザル、マンドリル、ワオキツネザル、シロテナガザル、アカゲザルの7種が展示されている。ゴリラは3頭ともここで人口飼育されている。研究・調査用に、チンパンジーには学習室があり、勉強したり、道具を使って餌をとったりする様子を見ることができる。マンドリルは、鼻筋と鼻下とがまっ赤で、その両脇には青い隆起が6本走っている特徴的な顔をしていて、ワオキツネザルの尾には白黒の輪の模様がある。何故なんだろう、とその多様性への疑問は果てしなく続く。

 

この動物園では京大と連携して、チンパンジーの「心の進化」の研究を続けているということである。もし論文があれば読んでみたいものである。チンパンジーに心はあるのだろうか。目や顔の表情を見ると、心はあるようにも思える。チンパンジーと人間のDNAは殆ど同じといわれる。しかし、ある実験によると、3歳の人間の子供は、目の前にその事実が存在しなくても、言葉で言うだけでそれを実行することができるが、チンパンジーの大人は、言葉で行っても、目の前にその事実がない限り、それを実行することができない、という。つまり想像力がないということで、脳の機能に決定的な違いがあるという興味深い実験である。ネアンデルタール人はホモ・サピエンスの先祖であるとか、全然関係がないとか、まだ定説はないようだが、いずれにせよ、ネアンデルタール人は絶滅し、ホモ・サピエンスが様々な淘汰を潜り抜けて、現在の私たちがある。しかしその私たちが作り上げた文明がこの自然と動物を破壊し始めているというのは皮肉なことである。

 

次に「アフリカの草原」に進み、草原を一望できる木の遊歩道に登り、キリンが木の上にぶら下がっている餌箱から餌を食たり、シマウマがゆったりと歩く姿を見降ろした。近くで見るシマウマやキリンの模様の美しいこと。水場で水浴びをするベニイロフラミンゴのピンク色を楽しみ、ミーアキャットの面白い生態をガラス越しに見ることができた。「アフリカの草原」と呼ばれる広場は2013年に広くなったそうだが、このネーミングには思わず笑ってしまい、反射的に、タンザニア共和国のセレンゲティ国立公園で、ゾウ、ライオン、キリン、シマウマなど様々な動物が、見渡す限りの草原の中でゆったりと暮らしている、テレビでよく見る映像を思い出した。

 

午前中ということもあって、先生に引率されたたくさんの保育園児や幼稚園児がそこかしこで、動物を見ながらキャッキャッと大声を上げて楽しんでいた。少子化と言われている中でこんなにたくさんの子供を見てほっとするが、彼らのあげる甲高い、やかましい歓声が頭にこたえた会員もいた。

 

最後に、遊歩道を歩いて「おとぎの国」のそばを通ると、そこには人と動物が触れ合うことができる「ふれあいルーム」があり、大勢の保育園児や幼稚園児がうれしそうに小さな動物を抱かせて貰っていた。レッサーパンダやフンボルト・ペンギンもそのエリアで展示されていて、それらを見ながら、東出入口のそばにある売店に向かった。動物園には、自分の気に入った動物の餌代を払ってサポーターになる「餌代サポーター・システム」という制度があると聞いていたが、1口10万円ということが分かり、それはあきらめて、皆それぞれ「ゴリラ・ラーメン」をいくつか買った。おいしいと評判のこのラーメンを買うと、その10%が動物園への寄付になるということである。

今、北海道旭川市の旭山動物園とか南紀白浜のアドベンチャー・ワールドとか、それぞれ特徴を持った動物園が多く出てきているなかで、京都市動物園は規模も小さく、かなり伝統的な展示方法を取っているが、それは最初に書いたように、「都心に近く、動物との距離も近く、・・・」という理念に基づいているもので、その基礎には京都らしく、繁殖では日本一の実績をあげてさまざまな賞を取り、また、チンパンジーの研究を地道にやっているということがあり、誇りに思うべきことである。

 

参加者は、皆さん久しぶりに動物園に来て、多くの動物に接し、動物の多様性、進化の不思議さ、人間の作り上げた近代文明の結果、多くの動物が絶滅危惧種になっているということなど、さまざまな思いが脳裏を横切ったことだろう。

 

動物園を出て5分ほど歩き、国際交流会館2階のフレンチ・レストラン、ルヴェソンヴェールで、東側一面のガラス窓越しに美しい紅葉の景色を眺めながらおいしい昼食をいただいた。

 

そのあと、中川慶子支部長から10月に東京で行われた全国セミナーの報告があった。

 

2014年度JAUW公開シンポジウム(報告)

118日(土)10301640 日本女子大学 桜楓2号館

参加者 会員約80名 会員以外24名 (内、京都支部からの参加者4名)

 

1.今年のシンポジウムのメーンテーマは「女性の自立とは」である。このテーマは今まで、いろんなところで数えきれないほど、話し合われてきたものであるが、最初に、中村久瑠美会長からテーマの趣旨説明があった。(以下要旨)

○安倍首相のいう「女性が輝く社会」は本当に実現するか?実現のために私に何が必要か、共に考えましょうとゆったりとわかりやい口調で話された。

○「自己の確立」=「自立」  思い切り働きたい、でも家庭も子育ても大切、女として当たり前の要求である。女性自身人生で本当にほしいものは何か。自

立する上で女性が働くことは大切だが、働き方はいろいろあってよい。現実に女性たちは自立しているのだろうか。法律事務所*を訪れる女性たちの悩みはいろいろ多様。

○「女性が輝く社会」は絵空事ではないだろうか。もっと現実を見据えて、解決を図っていくことが大切。女性自身の自己の確立が前提になることを認識しよう。

○女性の自立を支える施策として

@女性のための法制度の拡充を!・・育児介護法、労働者派遣法等々 

A女性の就労を阻む税制・社会保障制度の見直し・・配偶者控除(103万円の

見直し、社会保険料(130万円)の壁をどうするか、配偶者手当の廃止問題など

B女性の自立を支援する社会環境整備

C女性の自立支援資金事業の創設

○ぜひ各支部でこれらの問題を研究テーマとして取り上げ勉強会を持ってほしいと提起された。*弁護士の中村会長は1982年、独立して法律事務所を開所。

 

次に当日のプログラムのみを紹介する。(中村会長、坂本里和氏、竹信三恵子氏の講演はJAUW HPにアップされていますので是非ご覧ください)。

2.講話「成長戦略としての女性活躍の推進」経産省中小企業庁 創業・新事業促進課長)坂本里和氏

3.報告 IFUWアジア地域ワークショップ 

CIR国際ネットワーク担当理事 山下いづみ氏

4.基調講演 「女性の経済的自立はなぜ進まないのか〜家事ハラスメントの視点から 〜」講師 竹信 三恵子氏(和光大教授 ジャーナリスト)

午後から

5.パネルディスカッション「女性の働き方を考える」

  (株)愛企画 代表取締役 吉川愛美氏

  (独)産業後術総合研究所 主任研究員 大矢根 綾子氏(茨城支部会員)

  JAUW 副会長 梅田和子氏 (当初 石塚浩美氏予定)

  コーデイネーター 城倉純子氏

6.交流会17301900

 

(感想)

今回のシンポジウムは内容が豊富で、各講演後の質疑も活発で全体に充実していた。中村会長からも会員に具体的な研究テーマが提起され、京都支部も何らかの形で取り組みたいと思いました。