第3回野外例会報告
                                                             20121115

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.高齢者福祉総合施設「健光園あらしやま」訪問

 施設は、4階建て、外観は落ち着いた和風で、特養10ユニット、ショートステイ2ユニットの合計120
定員となっている。要介護
3以上の入居者を受け入れていて、現在の入居者は119名で、職員は非常勤を含め
40名から50名。北尾施設長のお話を伺い、その後で、施設内部を見学させていただいた。

 この施設の特徴はユニットケアと呼ばれる介護のあり方で、自立支援に配慮して、入居者が主役であり続け
られることを目標にしている。今までの施設は集団ケアが主流であったが、ここでは10人を1つのユニット
として、それに専従のユニット・リーダーがつき、その職員が運営のかなりの部分を担当する。1ユニットご
とにリビング・スペースがあり、食事・おやつもそこで取る。また、個室にはトイレがあり、ユニットごとに
「青森ひば」製の浴室を整えている。入浴に関しては、「ひとり浴」を全国の施設に広げている介護アドバイ
ザーの青山幸広氏のアドバイスを受け、「リフト浴」や「機械浴」を使わず、入居者ご本人の自立性を促すよ
うな介助をめざしているとのことである。



 その他、ショートステイのためのユニットが2つあり、要介護3以上の在宅の人が23日から2週間程度
利用することができる。また、デイサービスセンターやホームヘルプステーション、訪問看護ステーションな
どの在宅サービスも設置しており、施設サービスと在宅サービスの連携のもと、住み慣れた地域・住まいで最
期まで暮らし続けていける支援を目指している。1階には診療所があり、来春からは地域に往診にも出かけら
れるということである。

 その他の設備としては、4階に、渡月橋から松尾橋まで見渡せる、地域交流スペース「あの音(ね)」があ
り、時々コンサートなどが開かれる。この前のコンサートでは聴衆の40%ほどは地域の人たちだったとのこ
と。交流スペースの左側にはカフェ「ジョイント・ほっと」があり、ここも地域の人が自由に利用できる。

 施設長のお話を伺ったあと、4階、3階のユニットのリビング・スペース、「青森ひば」や信楽焼きのユニ
ット風呂などを見学した。オープンしてから4か月ということもあるのだろうが、全体の雰囲気は清潔で明る
く、入居者や職員の皆さんが礼儀正しいのが印象に残った。このような風光明媚な場所で老後を送ることが出
来るのは幸せなことだと思った。参加者には老後のことを考える年齢の人が多く、質問にも熱が入っていたが、
ここの入居待機者が400人以上いると聞き、現在の高齢者の置かれている状況の厳しさに改めて愕然とした。

2.東京でのシンポジウム「男女共同参画社会の形成と教育」の報告

 「健光園あらしやま」を見学したあと、その近くの「花の家」で昼食をいただき、それから、1014日に
日本女子大学新泉山館で開催された2012年度シンポジウム「男女共同参画社会の形成と教育」の報告が支部
長さんからあり、同会に出席された数名が感想を述べられた。

 午前の基調講演者はお二人であった。「男女共同参画社会に資する学校教育・大学とは」と題して最初に講
演された東京学芸大学学長村松泰子氏は、20104月より国立系大学の数少ない女性学長である。男性中心
の同大にあって、教授時代に男女共同参画推進プロジェクトを発足させ、現在に至るまでの学内変革の取り組
みを力強く話された。「教育が男女平等であれば、社会はもっと男女平等のはずでは?」「男女平等を教える、
男女平等に教える」「学校はどのようにしてジェンダーを作り出しているか」を熱弁された。中でも「学校の
なかのジェンダーチェックのためのマトリックス4表」はわかりやすいジェンダーチェック表でもっと全国的
に普及してもいいのではと思った。

 次いで、前千葉県知事堂本暁子氏が、「女性の政治参加、災害と男女共同参画」について講演された。昨年
の大震災後、被災地の避難所を視察され、そこで女性や障がい者の実態、男性がリーダーの避難所の実情を見
てからずっとかかわってこられた実体験をもとに、その後の活動について話された。「災害復興と男女共同参
6.11シンポジウム」「復興構想会議への女性委員の増員」等々様々な分野に活動されている様子は満80
歳の年齢を全く感じさせないものである。平常時における女性の自立、社会活動への参画、連帯感を強く持つ
などの意識ある行動が、災害時にも活きてくると力説された。

 午後からは、「教育」と「政治参加」のシンポジウムがあった。前半は4氏が各々の視点で家庭科教育等に
ついて発表、後半は3氏が全国地方議会女性議員へのアンケート調査等について発表され、その後、質疑・意
見交換があった。

 中学・高校の「家庭科」の男女共修については、それなりの成果を上げていることは事実だが、家庭とはど
ういうものか、また、人間としてどのように生きていけばよいのか、など生きていく上での、より幅広い理念
のようなものが欠如している、という指摘がされたとのことだった。敗戦によってそれまでの道徳は完全に否
定されたが、それに変わる新しい道徳というか、人間の生き方の指針が作られないままに来ている日本社会の
姿がそこに映し出されているということであろう。

                   ☆  ☆  ☆  ☆

 午後の部が終わり、帰りに桂川のほとりから、天竜寺の参道までを散策した。寒い日ではあったが、秋晴れ
の青空の下、イチョウの黄葉、もみじの紅葉が美しく、嵐山の景観の素晴らしさを堪能しながら、いろいろ考
えさせられた1日だった。